注)この文章はフィクションです。

妻とは価値観も合うし、夜の相性もピッタリ合っている。
そうは言っても、一緒に暮らしていると、お互いの嫌な部分を見るし見せる。
時には些細なことから口論にもなる。
大切に思っている人でも、意外と責め言葉は心に刺さり、ふとした拍子にその傷が顔を覗かせる。

そんな時、愛人は大きな癒しだ。
オリエント工業 アンジェ 沙織
お互いの嫌な部分を見なくて済むからいい関係が保てるし、会いたい時に会えるから都合がいい。

人に対して「都合がいい」と言うのは失礼だとわかっているが、やはり当てはまる言葉が見つからない。
いつの間にか、沙織は私にとって都合のいい女になっている。

ファッションリングを贈って以降、沙織は会う時いつもあの指輪を右手の薬指にしている。
オリエント工業 アンジェ 沙織
おそらく四六時中指輪を嵌めてくれているのだろう。

そんな気持ちを嬉しく思う。

その一方で、私の胸中は穏やかでない。
アクセサリーで飾った女性は魅力的だ。

右手にファッションリングをしていると言うことは、当然他の男を惑わすことになる。
元々あれだけの美人なのだから、若い男性に言い寄られないとも限らない。

気付けば、私は沙織を失いたくないと思っている。
だが、それを言葉にして「私のそばにいてくれ」と言うのは女々しすぎる。

そこで私は、エンゲージリングとマリッジリングを用意した。
エンゲージリングとマリッジリング
沙織は察しのいい女だから、私の本心が見抜かれてしまうかも知れない。

それでもいい。
結婚はできないが、沙織を縛っておきたいのだ。

「都合に合わせて使うといい」
そう言って指輪を渡す。
表向きは、場面に応じて婚約中や既婚を装う小道具だ。

「あら!」と驚く沙織。
オリエント工業 アンジェ 沙織
指輪をまじまじと見ている。

沙織に私の左手の結婚指輪を見せる。
同じデザインだと気付いてくれたようだ。

「ありがと」と、沙織が言う。
オリエント工業 アンジェ 沙織
沙織の髪型が少し変わったことに気付く。

「髪型、変えたんだ」
と聞くと、ヘアサロンには月一のペースで行っていて、最近の流行に寄せてもらったと言う。
特に心境の変化はないようで安心した。

ネイルやエステには凝らずに、ほとんど家から出ない沙織の唯一のこだわりポイントなのだろう。
ここは褒めどころだ。

「よく似合ってるよ」
オリエント工業 アンジェ 沙織
沙織は、はにかむようにほほ笑んだ。

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